Cave de Terre Online

メドックの伝統と卓越したテロワール

ボルドーのメドック地区に位置するシャトー・プリウレ・ド・ブレニャンは、その歴史と品質で「クリュ・ブルジョワ級」に格付けされる由緒あるシャトーです。
メドックの北部、サン・テステフ村の北東に広がる畑は、この地域の卓越したテロワールを象徴しています。
表土は砂利、その下には粘土質の土壌が広がり、水はけの良さと、夏場の乾燥時でもブドウの樹に水分を供給する保水性を兼ね備えています。
このユニークな土壌構成が、シャトーのワインに独特の骨格と、ソフトで豊かな果実味をもたらしているのです。

このシャトーでは、環境に配慮したリュット・レゾネ（減農薬農法）を採用しており、ブドウは健全な状態で育まれています。
収穫は全て手摘みで行われ、最高の品質を確保するために細心の注意が払われています。
主要品種であるメルローとカベルネ・ソーヴィニヨンの比率は、毎年のヴィンテージの個性を引き出すために細かく調整されます。
特に、粘土質の土壌で育つメルローは、ワインにふくよかさと滑らかな舌触りを与え、カベルネ・ソーヴィニヨンが骨格とタンニンを構築することで、見事な調和を生み出しているのです。

傑出したヴィンテージ：2015年の奇跡

2015年のヴィンテージは、ボルドーの歴史においても記憶に残る傑出した年として評価されています。
この年の作付けは、完璧な天候条件に恵まれました。
春は穏やかで開花が順調に進み、暑く乾燥した夏が、ブドウの果皮を分厚くし、アロマと色素を凝縮させました。
特に7月は非常に暑く、ブドウの成熟を加速させましたが、8月には適度な雨が降り、ブドウの樹に活力を与えました。
そして、収穫期の9月には再び乾燥した晴天が続き、ブドウは病害の心配なく、ゆっくりと完熟を迎えることができたのです。

この類まれな天候がもたらした恩恵は、ワインの品質に明確に現れています。
ブドウは高い糖度と理想的な酸度、そして熟した種子と果皮を持つまでに健全に育ちました。
その結果、2015年のシャトー・プリウレ・ド・ブレニャンは、力強さと同時に、驚くほどのエレガンスとバランスを兼ね備えた、特別な一本となったのです。

緻密な醸造の技と官能的なテイスティングノート

シャトー・プリウレ・ド・ブレニャンのワイン造りは、畑での努力を最大限に引き出す緻密なプロセスを経て行われます。
手摘みで収穫されたブドウは、セラーに運ばれた後、手作業による厳格な選果台で一粒一粒丁寧に選別されます。
その後、温度管理されたステンレスタンクで発酵が行われ、アロマと色素が最大限に抽出されます。

この過程を経て生まれたワインは、フレンチオーク樽で約12ヶ月間熟成されます。
新樽比率を約30%にすることで、樽由来の香りがワインの複雑性を高めながらも、ブドウ本来の果実味を損なわないようバランスが取られています。

このワインをグラスに注ぐと、まず輝きのあるガーネット色が目に飛び込んできます。
グラスを回すと、香りのレイヤーが次々と現れます。カシスやブラックベリーなどの濃密な黒系果実のアロマに、スパイス（クローブ、ナツメグ）、タバコ、杉、そしてわずかにミントや鉛筆の芯のようなニュアンスが重なります。
口に含むと、凝縮感のある豊かな果実味が舌いっぱいに広がり、ベルベットのように滑らかで、きめ細かなタンニンが全体を支えます。
酸は生き生きとしており、重くなりすぎず、見事なバランスを保っています。フィニッシュは長く、スパイスやミネラルのニュアンスが心地よく残ります。

ボルドーらしさを堪能するための
お料理との合わせ方

このワインの力強さとエレガンスは、様々な料理とのマリアージュを可能にします。
定番のローストビーフやラムチョップはもちろんのこと、ローズマリーやタイムなどのハーブを使った仔羊のローストは、ワインの複雑なアロマと見事に調和します。
また、鴨肉をベリーソースでソテーした料理や、キノコをふんだんに使ったトマトベースのパスタも相性が良いでしょう。

さらに、熟成したチーズ、特にコンテやミモレットのようなナッツの風味を持つチーズは、ワインのタンニンを柔らかくし、互いの風味を引き立て合います。
意外なところでは、日本のすき焼きや牛ごぼうなどの、醤油とみりんを使った甘辛い和食とも素晴らしい相性を見せます。
果実味と酸が料理の旨味と甘みを引き締め、互いを高め合うマリアージュを体験できるでしょう。

この2015年ヴィンテージは、ボルドーの当たり年が生んだ卓越した品質と、価格以上の満足感を与えてくれる一本です。ぜひ、この特別なワインと共に、贅沢な時間をお過ごしください。