シャルドネ スパイバレー/Chardonnay Spy Valley/ニュージーランド白
スパイ・ヴァレー・ワインズ
一風変わった命名の由来
ニュージーランドのマールボロ地区に拠点を置く「スパイ・ヴァレー・ワインズ(Spy Valley Wines)」は、その名の由来となったユニークな立地と、サスティナブルなワイン造りへの強いコミットメントで知られる、注目のワイナリーです。
彼らのブドウ畑は、マールボロのワイラウ・ヴァレー(Wairau Valley)に位置し、近くには通信傍受を目的とした巨大な衛星アンテナ(通称「スパイ・ベース」)がそびえ立っており、これがワイナリー名のインスピレーションとなっています。
スパイ・ヴァレー・ワインズ
ワイナリーの歴史
スパイ・ヴァレーは、1993年に「ジョンソン・ファミリー(Johnson Family)」によって設立されました。
彼らは、当時ほとんど未開の地であったこのユニークなテロワールに、ワイン造りの大きな可能性を見出しました。
ワイナリーが位置する場所は、温暖で日照量に恵まれながらも、冷涼な夜の気温がブドウの酸を保ち、アロマを豊かにする理想的な条件を備えています。
また、石の多い沖積土壌が水はけの良さとミネラル感を与え、特徴的なワインを生み出しています。
設立当初から、スパイ・ヴァレーは「環境への配慮」と「持続可能なワイン造り」を哲学の中心に据えています。
彼らは、ニュージーランドのワイン産業におけるサスティナビリティ認証プログラムである「サスティナブル・ワイングローイング・ニュージーランド(Sustainable Winegrowing NZ: SWNZ)」の認証を早期に取得し、環境負荷を最小限に抑える努力を続けています。
これには、水の効率的な使用、廃棄物の削減、生物多様性の保護、そして畑の健康を維持するための有機的アプローチの採用などが含まれます。
彼らの畑では、羊を放牧して雑草を食べさせたり、コンポストを積極的に利用したりするなど、自然の力を最大限に活かした農法が実践されています。
ワインメーカーのチームは、ブドウが持つ本来のポテンシャルを最大限に引き出すことを目指し、各ブドウ品種の個性を尊重したワイン造りを行っています。
特にシャルドネにおいては、異なる区画のブドウを分けて醸造し、フレンチオーク樽での発酵・熟成やマロラクティック発酵の有無などを調整することで、複雑味と深みのあるワインを造り上げています。
スパイ・ヴァレー シャルドネは、まさに彼らのブドウ畑と醸造哲学が結実した一本と言えるでしょう。
スパイ・ヴァレー シャルドネの醸造
収量を抑えるために枝と房の間引きを行い、ブドウが最適な熟度に達した状態で手摘み、または機械で丁寧に収穫されます。
優しく圧搾された果汁は、フレンチオークの樽(新樽を一部使用)で発酵が行われ、一部は複雑さとクリーミーさを増すためにマロラクティック発酵も施されます。
収穫から約10ヶ月間の樽熟成を経て、最終的なブレンドが行われます。その後、瓶詰め前にタンクでさらに熟成期間を設けることで、ワインがより一体となり、豊かな風味を形成します。
スパイ・ヴァレーのシャルドネは、彼らのテロワールへの深い理解と、持続可能な手法による丁寧なワイン造りの証であり、品質とエシカルな側面の両方で高い評価を得ています。
単体でゆっくりと味わうのはもちろん、ローストチキン、魚介のクリームソースパスタ、グラタン、帆立のソテーなど、幅広い料理とのペアリングが楽しめます。
広がりのあるシャルドネの美味しさ
熟したリンゴ、アンズ、黄桃などの豊かな果実香に加え、フレンチオークでの熟成に由来するカラメル、ハチミツ、ナッティーな風味、ブリオッシュ、木質香、燻し香といった複雑な香りが重なります。
口に含むと、リンゴや黄桃を思わせる豊かな果実味が広がり、樽のニュアンスがなめらかに溶け込んでいます。
しっかりとした酸とミネラルが骨格を形成し、ふくよかでクリーミーな質感が特徴です。長く調和の取れた余韻が楽しめます。
樽熟成による複雑さと、ニュージーランドらしいフレッシュでクリーンな果実味が見事に融合した、骨格のしっかりした辛口のシャルドネです。
■産地:ニュージーランド マールボロ地区
■品種:シャルドネ100%
■タイプ:白